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その44 人に就職する |
まだ春浅いというのに就職シーズンであるらしい。日刊スポーツも面接を含めその真っ最中である。若者はいつの時代も年寄りをいらだたせるらしく、入社試験担当の部長、局長達は面接を終えるや長嘆息である。 「なにしろ、新聞社を受けるというのに、ウチの新聞すら読んでいないんだからねぇ。これもご時世かね、今の若い人は」と言った具合。そう言われてみると、私も学生時代、日刊スポーツを読んだことがなかったし、野球場と言えば後楽園球場のジャンボスタンドでビールを飲んだ記憶しかない。それも日本ハム戦でガラガラのスタンド。目当ては野球ではなく、要は夏場の涼みに行っただけのことだ。 まぁ、今回のライブドアの一件も、堀江社長がもう少し言葉を選んでいれば、こんな混乱にはならなかった。「若いなぁ」というのが実感だ(当方も日頃の言動に問題があり、あまり人のことばかりは言えないが)。年寄りは詰まらぬことにこだわるもので、フジサンケイグループの異常とも思える反撃ぶりは、いろいろ背景はあるにせよ、やはり既成概念を打ち壊しかねない「若さ」に対する恐怖だろう。堀江社長もフジサンケイグループなどにこだわらず、日刊スポーツと提携したらいかがだろう。あなたが軽々しく考えている程度のことなら、この新聞で十分にできる。個人的な見解だが。 話が横道にそれた。入社試験のことである。 10日付の朝日新聞夕刊を読んでいたら「米記者、ボビー参謀に」という記事が目にとまった。ロッテの球団企画広報部に米国紙記者だったラリー・ロッカ氏(38)が就任した。米国流ファンサービス導入が目的だそうで、所属していたニューヨーク近郊の「ニューアーク・スター・レジャー」紙ではコラムニストとして活躍したという。メッツ時代のボビー・バレンタイン監督に出会い野球に対する考え方に共感、日本にやってきた。 「ファンを大切にするボビーの野球哲学に引かれた。この人の下で働いてみたくなった」。この動機が、柔軟な思想がうらやましい。就職を会社で選ぶのではなく、職種で選ぶのでもなく、「この人の下」を選んだ。「若さ」とはこういうことを指すような気がするし、こんな「若さ」ならばいつまでも持ち続けたい。
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