見わたせば、いつも舞台にひとり
八人の子供を育て、 定置網の親方の女房になった明治生まれの女が語る一代記。 北海道苫前のニシン場の親方の長女として生まれ、夢のような幼年時代を過ごしたミキ。 彼女が十三オの時、父を海の事故で、母も後を追うように相次いで亡くし、人生が一転する。 叔母を頼りに弟と二人、やっとの思いで青森に辿り着くが、そこで待っていたのは厳しい現実だった・・・。
関根浜の自然を愛し、共に生きた海の男の 「語り残さねぱならない歴史」
明治38年。飢饉つづきで、四男坊の亀二は一番年上になってしまった。 親子六人、生まれ故郷の八戸を捨て命がけで北に向かった。六オの事だった。 辿り着いたのは本州の北の果て、下北半島の関根浜。 「漁師に学問はいらねえ」の一言で小学校をやめさせられ、亀二は漁師になった。 イワシの地曳き番屋で働き、イカ約りをやり、厳しい自然のもと成長した彼は、やがてブリの定置網の親方になった。 父が死に、戦争があったが亀二は関根浜の自然を愛し、海の男として誇らしく生きた。 そんな被の浜に、原子力船「むつ」が来た。 今語らねは忘れ去られてしまうだろう関根浜の歴史。 愚安亭遊佐の父の人生の物語。
下北半島の六ヶ所村は漁業が盛んで、雪の多い冬場は出稼ぎに出なけれはならないが、皆仲睦まじく平和な所だった。 そこに、むつ小河原巨大開発、全村移転、漁業権放棄と時代の波が押し寄せた。 その波にのまれ、捨てられて首を吊った男がいた。 しかし、彼には海の男としての誇りが残っていた。 そして、海の男を心から愛おしむ妻がいた。